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01
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ドアの向こうで誰かが言い争いをしている。
――ナ……
それに混じって誰かがぼくを呼んでいる気がする。
誰かの声が聞こえた。
な?
ナーシャ?
なに。
誰かの声が、気配がなんだか、すごく懐かしいような。
……知らない。
屋敷?
の中。
知らないのに、知ってる。知ってるのに、知らない。
妙に甘い硝煙の匂い。
砕けた壁の、土と砂埃のにおいがする。
(何処、だっけ。……どうして、此処に、居るんだ?)
──広い庭と、シャンデリア。
薄暗い廊下、背丈の倍ありそうな、大きな棺桶。
そうそう、確か。凄く綺麗だから、ぼくは、あれを、宝箱だと思ってて……
あれ?
さみしいんだ。
痛いんだ。
知らないのに。
わからない。何をいってる?
遠くの方にブロンドの女の人が居る。
ぼくは、だって、何か……何だ?
あれ?
「知っていて、虐待を売り物にしていたんですよね! 重ねて!! 放映することに意味があったんですよね!?私物みたいに? 勝ちたいからって、そんなことまで曝し者にするんですか。それを好きだからって、どういう神経して――――」
だって、あれは。
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