七つのお部屋

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 だから明日は妹が産まれて、僕はお兄ちゃんになる。  でも僕は、何だかそれが嫌なんだ。 「かんた、早く寝なさい。ゆうたはもう二階に上がったぞ。お兄ちゃんを見習いなさい。明日は忙しいんだからな」    ほら、またパパに怒られた。最近、いっつもこうだ。  僕のことなんてパパもママも考えてないんだもん。  ママはお腹が重たいから抱っこは無理よ。  言うことききなさい。  お兄ちゃんになるんでしょ。  そんなの知らないよ。僕はなりたくてお兄ちゃんになるんじゃないんだから。  勝手に産まれてくるのが悪いんじゃないか。 「ほら、寝るぞ」  お兄ちゃんに言われて、僕はしぶしぶ子ども部屋の二段ベッドの下に潜り込んだ。  この二段ベッド、最近買ったんだ。  今まではママと一緒に寝ていたけれど、お兄ちゃんになるから、お兄ちゃん二人は一緒に寝なさいだって。  全く、何でもかんでもお兄ちゃんお兄ちゃんって、本当に嫌になっちゃう。
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