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あの頃は、なんだか複雑な気もした。
けれど大好きな親友と大好きだった元彼が付き合っても、イヤな気分にはならなかった。
誠からも、同じような手紙だったから。
◇◇◇
今になってそんなことを思い出すなんて、不思議。
甲子園の映像から、懐かしいことを思い出して、ノスタルジックな気分になった。
後になって思えば、あれは予感だったのかもしれない。
それから2日ほどして、郵便物が転送されてきた。
引っ越してしばらくは転送されるように手続きをしていたことを思い出した。
_____あー、まだ転居の知らせを忘れてるとこがあったか
真っ白な封筒の差出人は、神谷昭三…浩美のお父さんの名前だった。
思いもかけない人からで、何故か緊張しながら封を切る。
中から出てきたのは、厚手の紙に印刷された告別式の挨拶状だった。
それも、亡くなったのは、誠と浩美、2人での連名。
_____え?なにこれ、おかしいでしょ?
姓が同じ永野ということは、2人は結婚していて、そして同じ日に亡くなった?
私は急いで卒アルを出して、同じクラスで2人と仲がよかった人を思い出して
Facebookで、検索した。
_____いた!溝口君!
“久しぶり”
“ちょっと聞きたいんだけど、誠と浩美のこと…”
“あ、聞いた?”
“訃報の知らせが届いた、ね、どういうこと?なんで?事故?”
“今週末でも帰って来れない?会って話さないと長くなるし”
私はカレンダーと予定を確認する。
何年ぶりかで、遠い故郷に帰ることにした。
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