今から子猫の話をします

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 雪乃(ゆきの)、と呼ばれた児童が答える。 「女の子が、その子猫を可哀想だと思っていたからです」 「でも君は、その女の子じゃないよ?」 「うーん、そうだけど……」 「それに、お母さんはその子猫を可哀想だとは思わなかった」 「はい」 「どうして女の子の気持ちと同じになったんだろう?」 「私が、その子と同じ女だから……?」  彼女のその発言に、近くの男子児童がお母さんも女じゃい、と指摘していた。  エレン先生は、最高のツッコミだよ、と破顔し手を叩く。  そして一転、真面目な顔に戻してこう言った。 「誰かの可哀想は、君たちが決めることじゃないんだよ」
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