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皆がふーむと考え出す。エレン先生の言葉の意味を探る。
「路上で暮らすホームレスは可哀想かい?」
一年生の児童に目を向ける。
「可哀想でしょ」
「家がないから?」
「うん」
「僕にはホームレスの友人がいるよ。家賃がかかんなくて最高だって言っていた。日本国内を寝袋ひとつで旅できるから楽ちんだって」
へえっと皆の声が漏れる。
「車椅子でしか歩けない人は可哀想かい?」
今度は二年生の児童。
「可哀想って言っていいのか分からないけど、可哀想かも」
「自分の足で歩けないから?」
「う、うん」
「足を失くしたある男性が言った。足を失ってから人の優しさに触れる機会が増えた、声をかけてもらったり助けてもらったり。足を失わなきゃ、こんなに毎日感謝することはなかったかもしれない。僕の毎日は、愛で溢れていると」
皆の首が大きく動く。天を仰ぐように上を向いた児童もいた。
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