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「君はどう思った?」
エレン先生の瞳がひとりの女子児童に向けられる。
「優しい女の子だなあ、と思った」
「どのへんが?」
「可哀想な子猫を助けたところとか」
「うん」
「反対したお母さんに、雨がやむまで待ってってお願いしたところ」
君もそうするの?と聞かれて、彼女はうちのママはこわいから無理と言っていた。エレン先生は笑って、僕んちもと言った。
「君はどう思った?」
彼女の隣に座る児童は、うーんとひとつ唸ってからこう答える。
「最初に、家の人に確認するべきだと思います」
「どうして?」
「この女の子はまだ子供だし、ペットを飼いたいならまず、家族に相談しなきゃ」
「じゃあこの女の子は間違っていた、そういうこと?」
「可哀想な子猫を助けようとしたから、そう言っちゃうと今度は女の子が可哀想ですけど……」
首を思い切り傾げる児童と同じ方向へ首を曲げたエレン先生は、難しいよね、分かるよと言った。
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