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「直弘の意見も聞かせてよ」
指されるとは思っていなかったのか、彼はえ、えと慌てだす。
「えーっとえーっと、まあ、雨がやむまでは飼えたからいいんじゃん?」
「どうしてそう思うの?」
「だってお母さんもそれくらいならいいって思ってくれたんだし、女の子の願いも叶ったし、可哀想な子猫は雨に濡れなかったし、ハッピーエンドじゃん」
「なるほど」
顎に手をあてたエレン先生は深く頷いてから、皆の顔を見渡した。
「この物語のエンドはハッピーだった?それともバッド?」
まずはバッドから聞いてみよう。そう言って、エレン先生は手を挙げる。
「バッドエンドだと思う人」
皆の黒目が動き出す。
きょろきょろぐるぐる。誰か挙げるのかな、って思ってる。
「ワオ。ひとりもいない。みんな、気が合うんだね」
エレン先生は一度手を下げて、そして再び上に挙げる。
「じゃあハッピーエンドだと思う人」
全員の手が挙がった。
オーケーおろして、と言われて手を下げる。
「それじゃあもう一度、同じ物語を話すね」
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