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「ひとつめの話とふたつめの話。同じ物語だけど、どっちの方の子猫が可哀想に思える?」
明るい声で、エレン先生は言った。
「ふたつめの話」
全員一致でそう答える。
「そうだよね。僕もそう感じるよ。だけど君たちにひとつめの話の感想を求めた時も、みんな一様に、可哀想な子猫だと言っていたね。ひとつめは子猫の心が分かる場面はどこにもなかったのに、どうしてそう感じたのかな」
健二、と呼ばれた児童が答える。
「あ、雨に濡れていたから」
「じゃあ雨に濡れた鳩も可哀想?」
「鳩は、べつに……」
「じゃあどうして?」
「子猫だから、かな。子どもの猫だから」
「鳩の子供は可哀想?」
「鳩は、べつに……」
彼はぽりぽりと頭をかいた。エレン先生は、過去に鳩と何かあったんだね、と呟いていた。
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