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その後の勇者一行と魔族達の混乱ぶりと言ったら、それはもう空前絶後でした。
勇者達は、倒しにきたはずの敵が、いきなり仲間に求婚したことにびっくりして。
魔族達は、決戦前夜の会議で、『全部僕に任せてよ』と珍しく強気な発言をした魔王様を信じたら、これで。
唯一魔王様の真の決意を知らされていたサルガトナスだけは、すっかりふたりの世界に入ってしまって心底幸せそうな、魔王様と癒し手を見た後、
「まあ、『人間世界と魔界の争いを無くす』という、代々の魔王の使命を果たせるなら、領土などどうでもいいでしょう」
と、腕を組んで、宙を仰ぎました。
かくして、人間と魔族の千年近くに及ぶ争いは終結し。
勇者は、武力以外で魔王の牙を抜いた英雄としてたたえられて、戸惑いまくり。
魔族は、各地の魔物の撤収や、人間世界との新たな交流に追われて、右往左往しまくり。
そんな中、元魔王様は、愛する人と結婚して、子宝に恵まれ。
星や花や虫を愛でて、青い空を見上げ、各地を巡っては、綺麗なものに触れた喜びを歌にするのでした。
たまには、そんなハッピーエンドがあっても、良いでしょう? というお話です。
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