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二月の新婚旅行
結婚して半年以上が経った二月。ランバートとファウストはようやく纏まった休みが取れ新婚旅行へと行くことになった。期間は二週間。あまりに休みが多すぎて逆に心配になってしまう。
「大丈夫かな」
「まだ言うのか? 大きな事があったら連絡が来るようになっているだろ?」
「それはそうなんだけど」
雪が深い季節、二人で馬を並べるランバートは今もまだ心配ではある。皆が快く送り出してくれたのだが、仕事以外でこんなに長く離れる事もなかったせいか気になってしまう。
そんなランバートに溜息をついたファウストが馬を完全に横につけた。
「楽しめと言って送り出してくれただろ。楽しむのが、今の俺達の使命だ。帰ってそんな顔をしてみろ、あいつらにどやされるぞ」
「……うん」
確かにそうだ。そして、信じていないのかと言われる。
信じている。ただ、慣れないだけだ。
気を持ち直して笑ったランバートに、ファウストも笑う。そしてフリムの腹を蹴った。
「ちょっと!」
「ほら、付いてこい! それともサボって腕が落ちたか?」
「誰が!」
ランバートも馬の腹を蹴り勢いよく走り出す。それでもフリムの横につけることは難しいが、しっかりと後ろについた。
いつ見ても大きくて憧れる背中。この背中を昔も今も追いかけ続けている。そしてこれからも、きっと。
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