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その日はマルギットとハイノの第一子アルノーの婚約者フレデリカの7歳の誕生日だった。
シュタイン王国は7歳になるとこの先の道筋に合わせた環境が整えられる。
当主となる者の教育が基礎教育から次期当主教育へ変わり王家主催の饗宴へ出席するのも7歳、騎士となる者が騎士団へ入団するのも7歳、他貴族へ侍従や女官として仕えるのも7歳等、一つの重要は節目の年とされていた。
アルノ―より2歳年下のフレデリカは来月の王家主催の饗宴から出席となる。
王家や他家貴族へのお披露目となるのだ。
「フレデリカ、7歳のお誕生日おめでとう。
来月の王都でのお披露目が楽しみですね」
マルギットはフレデリカの誕生日祝いをマデュラ子爵家所領で4人揃いささやかに催した。
「義母様、ありがとう存じます。私、いまから緊張をしています。国王様や王妃様、18貴族の方々が大勢いらっしゃる中でダンスを上手に踊れるかが心配なのです。アルノ―様にご迷惑がかかってしまってはと思うだけで鼓動が早まります」
フレデリカは胸の前で両手を結び、不安そうな顔をマルギットへ向けた。
アルノ―がフレデリカを気づかう。
「フレデリカ、案ずることはないぞ。あんなに沢山稽古をしたのだ。
母上、フレデリカは覚えが早いとダンスの師よりお褒めの言葉を頂いたのですよ。
とても美しく踊るとも申されていました。
私も稽古に同席していますが、それは、それは熱心に取り組んでいて、足指にまめができるほど励んでいます」
アルノ―が婚約者であるフレデリカを称賛する。
「そうなのですか。フレデリカ、ますます楽しみですね。アルノ―と共にダンスを楽しめばよいのです。案ずることはありませんよ。
アルノ―はいつもフレデリカを気にかけていますから」
マルギットは見つめ合うアルノーとフレデリカに微笑みを向けた。
「本当に仲睦まじく微笑ましいことですね。
ハイノ、そう思いませんか?」
マルギットはハイノへ目をやった。
ハイノは何とも愛おしそうな眼差しをアルノーとフレデリカへ向けていた。
「そうだな。
本当に仲睦まじく嬉しい限りだ」
「いえ、父上と母上の睦ましさには及びません。フレデリカといつも話しているのです。我らも父上と母上の様でありたいと」
アルノ―とフレデリカは微笑み合った。
「ハイノ、そろそろ・・・・」
マルギットがハイノへ目配せをした。
「そうだな・・・・」
ハイノはマルギットに呼応すると人払いを命じた。
「ベルントとベーベル以外は席を外してくれ」
サッサッ
サッサッ
パタンッ
侍従ベルントと女官長のベーベルの他、晩餐の場に仕える給仕人は一礼をすると静かに退室した。
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