第13話 指輪の継承

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スッ マルギットは自身の左手親指にはめられていた金緑石(アレキサンドライト)の指輪を外し箱へ収めた。 ハイノはベルントからもう一つの緑の台座に金細工が施された箱を受け取るとマルギットが机に置いた箱の隣に並べる。 スッ 同じ様にハイノの右手薬指にはめられていた金緑石(アレキサンドライト)の指輪を外し、箱へ収めた。 ハイノは腰かけたままのマルギットの右肩へそっと左手を添える。 マルギットは右肩添えられたハイノの左手の上に左手を乗せるとハイノを見上げた。 お互いが愛おしくて仕方がないと言った視線を交わすとマルギットは再びアルノーとフレデリカへ視線を移した。 「アルノー、フレデリカ、よく聞いて欲しいのです。ここにある2つの指輪はマデュラの当主とその伴侶が身に付けるものです。 2つで一対となり、マデュラの名が称された300年程前から代々引き継がれているものです」 「互いに合わせると六芒星(ヘキサグラム)を表します。 シュタイン王国の守護星は八芒星(オクタグラム)です。 なぜ、マデュラ子爵家の当主と伴侶が継承してきた指輪が六芒星(ヘキサグラム)であるかの話からしましょう」 ガタンッ 侍従ベルントが立ったままのハイノを気づかい、マルギットの隣に椅子を置いた。 ストンッ ハイノはベルントへ軽く頷いて見せるとそのまま腰を下した。
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