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「こ、この写真…何処から?」
声を震わせ私に聞いて来た真弓さんの顔は青ざめている。
「私、どうしてもお母さんのポテトサラダを作りたくて、何処かにレシピないかとあちこちあさっつたら出て来たの」
「…………」
真弓さんは何も返してくれない。
「これ、私を抱いているお母さんの横に立っているのは、お父さんじゃなくて、お父さんの病気で亡くなったお兄さんだよね?何で?」
「この事はお父さんに聞いたの?」
「聞いてない……何だか怖くて聞けなくて、イライラしちゃってさっきもお父さんと下らない事で言いあっちゃった」
「そうなの…」
それから真弓さんは大きな深呼吸をしたみたいに息を整え私に教えてくれた。
いつかわかる事かもしれないし、見つかっちゃたならと言いながら、写真の人は私の本当のお父さんで、私が産まれて直ぐに病気で亡くなった、お母さんはお父さんが守って来たじゃかいも畑をこの家に残って守るんだと、……そして今のお父さんと再婚をしたと。
私の予感は的中した。でも、私の知っているお父さんとお母さんはとても仲が良く、そんな経緯がある夫婦には見えなかった。
真弓さんは、お父さんはね凛子ちゃんを育てながら必死に家業を守るお母さんの事、本当に大事に思ったのでしょうね……力を合わせているうちに本当の夫婦になったんじゃないのかなと教えてくれた。
「真弓さん、ありがとう。それを聞けてすっきりした。大丈夫、今までと変わらずお父さんはお父さんだから」
「なら良かった。そうよね凛子ちゃんももう立派な大人だものね?そうそう、彼氏は?」
「いないよぉ~、てか家を継いでくれる人とお見合いでもしよっかな?なんて……あのじゃがいもしか頭にないお父さんを一人に出来ないし」
真弓さんの話に動揺したのを隠す様に、あっけらかんとした素振りで返した。
「あっ!凛子ちゃん明日の朝…」
「わかってる、明伏養鶏所の玉子が届く日だよね?受け取っておきます。じゃっ!」
気持ちを落ち着かせながら家に向かって歩いた。
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