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真弓さんから話を聞いてから数日後。
いつも通りの2人での食事。
「やっぱり違うよね?ポテトサラダ」
お父さんに聞いてみる。
「ん~かなり近くはなってるけどな、マヨネーズかなぁ?」
「そう思ってマヨネーズのメーカー変えてみたんだけどなぁ」
「まっ、いつかは出来るよ!あの日本一のポテトサラダが」
少し寂しげに私に向けた精一杯の笑顔は疲れている様に見えた。
「あっ!お父さんに言い忘れてた。明日メーカーさんと合って話聞いて来る」
その言葉を聞いたとたんお父さんは鬼の形相に変わった。
「駄目だ!お母さんはそんな事をした帰り道、事故に逢ったんだ!あの会社が変な話を持って来なかったら今頃」
そこまで言うと下を向いて悔しそうに握った拳を見つめていた。
「だって、従業員さんもベテランさんになって品種も増えて来て、量産出来る様になっても引き受けが無くて毎年折角のじゃがいもを無駄になってるじゃない!」
「仕方ねえだろ!」
投げやりな言葉を返すお父さん。
「業務提携したら、じゃがいもを保存する設備を作ってくれて加工して。利益が出れば色んな機械も揃えられるよ?皆が楽出来るんだよ?」
「俺は楽しようとなんて思ってない!」
「はぁ?わからず屋!作業がきつくて疲労がたまってお父さんのお兄さんは亡くなったんでしょ?だからお父さんにはそんな思いさせたくないって!お母さん考えてメーカーさんと会ってたんじゃないの?だから私がその続きするからっ!あっ…………」
「お前、その話……」
「とにかく、お父さんが何と言おうと私は話を進めるから!」
思わず口ばしってしまった事への焦りを隠す様に言い捨てて台所を出た。
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