1.水を求めて

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 それは突然訪れた。  仕事も思うように入らず、かと言って暗い四畳半に居る気にもならず、フラフラと家を出た昼下がり。  何をする訳でもないので、公園に立ち寄る。  何しろ金がないのでゲームセンターなどには行けないし、遠くまで遠征して節約の旅を企画するなんてありえないしかったるい。  そうなると必然的に近所の公園のベンチに腰掛けて、まとめ買いして持参した生ぬるい缶コーヒーを煽ることになるわけである。  ぼんやりと見つめる先で子供が数人でボールを追いかけている。それを見つめる生気を失った瞳が2つ。  彼らはきっと知らないだろう。世界に救いなど無くて、1度道を逸れれば戻れない事実も。  当然だ。親に守られ愛されて育つあの子達には、知る由もない世界だからだ。  けれど、俺はこの光景が不思議と心地よいと思っていた。決して嘲笑や卑屈の類ではなく。  ただ無邪気に戯れる、あのあどけない笑顔を見つめるだけの時間が好きだった。  ふわり風がなびいて、枯葉が目の前をゆらり流れて行った。視線を少しだけ落とす。  
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