どんどん好きになる(第一話『わんこ、帰宅』4)

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どんどん好きになる(第一話『わんこ、帰宅』4)

唇と下腹部。朝倉とつながっているところが、甘く痺れている。 朝倉が俺とキスしたまま、腰を動かした。 「ふ、ん、んん」 うまく呼吸できなくて、俺は涙目になる。乱暴な抽送に耐えられなくて、足をばたつかせた。 「んん!」 俺は二度目の射精をする。なかにある朝倉のを締めつけてしまう。 「く……う」 朝倉が呻きながら、俺の奥に進んでくる。 俺のなかに朝倉のが注がれていく。浅い呼吸をしながら俺は朝倉を見つめた。朝倉の顔は真っ赤だった。 俺は朝倉の頬を撫でた。俺を抱いたから、こんなに熱くなったのか。 「気持ちよかった?」 朝倉は笑って、俺の手に指を絡めた。 「言わなくてもわかるだろ?」 「そうだね」 朝倉が俺のなかから自分のものを抜いた。散々攻められ敏感になっていたところが擦れる。 「ん……」 俺は思わず声を漏らした。朝倉が覆いかぶさってくる。 どちらからともなく、抱きしめあった。朝倉は、音を立ててキスしてくれた。 「橋本」 穏やかな声で、俺の名前を呼んでくれた。 「好きだよ。抱くたびにどんどん好きになる」 「俺も。すごく好きになる」 見つめ返していると、朝倉は微笑んだ。 「眠い?」 「ちょっと」 本当は、ちょっとどころではない。朝倉に中出しされると、いつも強い眠気が来る。気持ちよすぎて、疲れてしまうのだろうか。 「終わったあとの橋本って、目がとろんとしていてかわいい。ずっと見ていたくなる」 「朝倉のほうがかわいいよ」 「俺? どこが?」 俺は答えなかった。そのまま、目を閉じて答えられないふりをした。 俺のこと抱きたいって素直に言ってくるのは、すごくかわいいだろ。でも指摘すると、むくれるだろうなあ。 俺がうとうとしていると思ったのだろう。朝倉は俺の胸に頬を押しつけて、ささやいた。 「やっぱ、おまえのほうがかわいいよ。愛してる」 ちゃんと聞こえた。 うれしい。照れる。顔がにやけてしまう。 「橋本。起きてるだろ」 俺は首を振る。 「そういうところがかわいいんだよ」 朝倉は、俺の頭を優しく撫でてくれた。 【第一話おわり】
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