144人が本棚に入れています
本棚に追加
どんどん好きになる(第一話『わんこ、帰宅』4)
唇と下腹部。朝倉とつながっているところが、甘く痺れている。
朝倉が俺とキスしたまま、腰を動かした。
「ふ、ん、んん」
うまく呼吸できなくて、俺は涙目になる。乱暴な抽送に耐えられなくて、足をばたつかせた。
「んん!」
俺は二度目の射精をする。なかにある朝倉のを締めつけてしまう。
「く……う」
朝倉が呻きながら、俺の奥に進んでくる。
俺のなかに朝倉のが注がれていく。浅い呼吸をしながら俺は朝倉を見つめた。朝倉の顔は真っ赤だった。
俺は朝倉の頬を撫でた。俺を抱いたから、こんなに熱くなったのか。
「気持ちよかった?」
朝倉は笑って、俺の手に指を絡めた。
「言わなくてもわかるだろ?」
「そうだね」
朝倉が俺のなかから自分のものを抜いた。散々攻められ敏感になっていたところが擦れる。
「ん……」
俺は思わず声を漏らした。朝倉が覆いかぶさってくる。
どちらからともなく、抱きしめあった。朝倉は、音を立ててキスしてくれた。
「橋本」
穏やかな声で、俺の名前を呼んでくれた。
「好きだよ。抱くたびにどんどん好きになる」
「俺も。すごく好きになる」
見つめ返していると、朝倉は微笑んだ。
「眠い?」
「ちょっと」
本当は、ちょっとどころではない。朝倉に中出しされると、いつも強い眠気が来る。気持ちよすぎて、疲れてしまうのだろうか。
「終わったあとの橋本って、目がとろんとしていてかわいい。ずっと見ていたくなる」
「朝倉のほうがかわいいよ」
「俺? どこが?」
俺は答えなかった。そのまま、目を閉じて答えられないふりをした。
俺のこと抱きたいって素直に言ってくるのは、すごくかわいいだろ。でも指摘すると、むくれるだろうなあ。
俺がうとうとしていると思ったのだろう。朝倉は俺の胸に頬を押しつけて、ささやいた。
「やっぱ、おまえのほうがかわいいよ。愛してる」
ちゃんと聞こえた。
うれしい。照れる。顔がにやけてしまう。
「橋本。起きてるだろ」
俺は首を振る。
「そういうところがかわいいんだよ」
朝倉は、俺の頭を優しく撫でてくれた。
【第一話おわり】
最初のコメントを投稿しよう!