cocktail.33 Behind the scene⑦

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「だから、今の澪さんの目標は『男性恐怖症を克服して、お父さんとバージンロードを歩くこと』なんだと思いますよ」 「そんな……澪が……そんなことを……。それが本当なら……そんな嬉しいことはないわ」 澪の母が目を潤ませているのを見て、俺は今自分の考えていることを隠さず伝えた。 「澪さんは1週間ほど右肩を固定する必要があるみたいなんです」 「そう……日常生活に多少支障があるわね」 「それで、澪さんの返事次第ですが、僕が澪さんのお世話をしてもいいでしょうか?」 「いいけど、久我さんお仕事大丈夫なの?」 「はい。年内の仕事は昨日で大きなものは片付いたので」 「そう」 「それと、もう一つお願いがあります。澪さんが学生なので遠慮していたのですが……澪さんの肩が治るまで一緒に過ごして、その生活で澪さんに負担がかからないようでしたら、引き続き『同棲』をお許しいただけないでしょうか。僕との交際をもう少し安定させたいんです」 すると母は目をぱちくりさせた。 「え、同棲?」 「はい。仕事をこなしながら、もう少し澪さんと安定的に会えるようにしたい、という僕の()(まま)ではあるのですが」 「澪は何て?」 「澪さんにはまだ伝えていません」 「そう。『テスト期間中は大学に久我さんの家から通うことにしたの』って嬉しそうに話してたくらいだし、澪がそうしたいなら同棲してもいいわよ。ただし――」 澪の母は久我をジッと見つめて告げる。 「条件があるわ。試しに澪の肩が落ち着くまで一緒に過ごして、その後については年始、うちの主人に挨拶に来てもらえないかしら。澪が付き合っている人の事、気にしているみたいなの」 久我はニッコリと笑う。 「もちろんです。僕もそうしたいと思っていました」 「そういうことね。わかったわ。主人に話しておく」 「よろしくお願いします」
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