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私ははっとなった。
そっか........私は一人じゃないんだな。
間違えたらしっかり私のために怒ってくれるミクちゃん。
失敗してもちゃんと許してくれる柊先輩。
そしていつもそばにいてくれるこうみ。
私が気付いてないだけで私はいろんな人に支えられていたんだ。
そして私が私を貶すと悲しんでくれる人も。
私の行動で先輩が心配したり怒っていたのは私のせいで怪我をしてしまったことじゃなくて私が私自身を責めていたことだったんだ。
それを柊先輩は一生懸命私の目を逸らさずにまっすぐ必死に伝えようとしてくれたんだ。
「なーんて、少し先輩っぽく叱ってみたりしてね。ごめん、今の忘れて.....じゃあ先言ってるから......」
「先輩!」
「ん?なに?」
先輩は私の声に立ち止まって耳を傾けてくれた。
だから私も一息ついてこう言った。
「ありがとうございます。試合、先輩の分まで働いて、必ず勝ちます」
静かに重く、決意を込めるように強く、自分でもびっくりするようなはっきりとした声と言葉でそう柊先輩に言った.......いや、誓った。
そうすると先輩は一瞬驚いたように目が少し開いて、目を細くしてニカっと笑った。
「いい顔になったじゃん」
そう言われたから少し照れ臭くなったけど私も先輩の笑顔につられて笑った。
そして......校内へと一歩を踏み出した。
迷いはもうない。
気持ちを打ち明けたせいか足も体も来る前と違って100倍くらい軽い。
私はそのことが妙に嬉しくて気分が高まって体が熱くなって、つい走り出してはしゃいでしまいそうになる。
それを抑えて私は先輩の隣に立ってゆっくりと先輩のペースに合わせて会場へと向かっていった。
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