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なぜなら先輩の足が私に絡まって先輩をこかしてしまったからだ。
ピピー!
「柊先輩!」
「柊!」
柊先輩は、足を抱えて痛そうにしていた。
柊先輩はこの部活一と言えるほど足が早く、シュート率が高い。
面白くてノリが良くて笑ったり後輩と話すのが苦手気味な先輩だけど陰でいつも気にかけて心配してくれたり支えてくれる、そんな先輩。
そして私が一番好きで、尊敬していて、大切に思っている先輩だ。
そんな先輩を、私は、私が、傷つけてしまった。
そんなみんなが心配してる顔を見た柊先輩は「大丈夫だよ」と普段通りの顔を装っていた。
(大会が出れなくなったらどうしよう。先輩あんなに頑張ってやってたのに!毎日走って、シュートの練習をして!それを、その努力を、私は......!)
壊してしまったかもしれない。
ゴミ箱に捨てる紙くずのようにひきちぎってしまったかもしれない。
ああ、ああ、もうやめてくれ。
神様、お願いします。その痛みを私が100倍に背負ってもいいから、先輩を大会に出してあげてください。
いつものように風のように走らせてあげてください。いつものように小さな隙間から相手をすり抜けていって自慢のシュートでゴールを決めさせてあげてください。
お願いです、どうか、どうか、どうか。
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外は雨が降っていた。
私は学校の帰り道をとぼとぼ歩いていた。
傘もささずにただひたすら一歩、一歩、一歩、と。
ああ、先輩痛そうだったな。
先輩作り笑いだったな。
先輩苦しそうだったな。
先輩悔しそうだったな。
それも全部全部私のせい。
ピロン
携帯に通知が届いた。
バスケ部のラインだ。
「あ...........!ああ、嘘でしょ.............!!!」
柊先輩からだった。
病院に行って診察を受けた結果、足を神経を痛めて試合には出れないと書かれていた。
「嘘だ嘘だ嘘だウソダウソダウソダウソダウソダ嘘だーーーーー!!!!」
私はその場で立ち尽くして泣きじゃくった。
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