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イエロー系でまとめられた花束は、病院の床に叩き落とされ、バラバラになった。
それを見つめる、色素の薄い瞳。
「こういうの、迷惑だって言ってますよね?!」
たしか昨日は、ピンク系の色の花束だった。
病室のドアが開きっぱなしだから、わたしの声は廊下まで響いていることだろう。
でも、そんなことお構いなしにヒステリックに叫んだ。
「謝罪自体が、迷惑なんです。もう、来ないでください!わたしたちに関わらないで!!!」
「ーー明日、君は退院だろう」
床に散らばった花を拾いながら、男は淡々と話す。
「だから何?あなたに、何の関係があるの?」
花を持ってきたこの男は、初めて会ったときに沖島十織と名のった。わたしはこの人が嫌いだ。
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