父の背中

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「どうしたんだ?」 心配そうに聞いてくる父に、 私は必死に今見たものを説明した。 すると、さっきまで赤ら顔だった父の顔が青ざめ、 「その顔を見たのか?」 まるで悲鳴のような声。 「横顔だけ……」 と私が答えると、父は安堵のため息を漏らした。 「忘れなさい」 父はそう言ってから、あの、 父のように見えた人が寝そべっていた場所に座り、 静かに日本酒を飲んだ。 私が不思議な体験をしたのは、 後にも先にも、このときだけだ。
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