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将来の夢
「朱里、明けましておめでとう」
「明けましておめでとう、彩月ちゃん。今年もよろしく」
「こちらこそ、これからもよろしく」
新学期になった。クリスマスといった、一大イベントがあったからか、私たちのクラスも新しく付き合いだしたカップルも多いみたいだ。今まで名字で呼びあっていた二人が、急に下の名前で呼びあっている。私のような独り身には辛い現実だ。いやいや、バレンタインデーが終わったら、私もお兄ちゃんとカップルに……なれるのかな。なれてるといいな。
「そういえば、もうすぐセンター試験の時期だね」
「そうだね。でも、私たちはまだ関係ないから大丈夫だよね」
「でも、そのぶん模試があるじゃない」
「え?」
そんなのあったっけ。すっかり忘れてた。
「それに、そろそろ文系か理系か決めないといけない時期だし。私は文系に行くつもりだけど」
文理選択の時期かぁ。どうしよう。私は全然将来の夢とかないしなぁ。亮くんは、お医者さんになりたいっていってたから、理系だよね。お兄ちゃんも理系だ。そういえば、お兄ちゃんには将来の夢ってあるんだろうか。帰ったら、聞いてみよう。
「僕の将来の夢?」
「うん。お兄ちゃんは理系でしょう? どうやって、決めたのかなって」
私がそういうと、お兄ちゃんはああ、と頷いた。
「そっか、もうそんな時期か。僕は、夢っていうほどのものではないけれど、情報系の学科に進もうと思ってるから、理系にしたんだ」
そうなんだ。お兄ちゃんが情報系の学科に進もうと思ってるなんて全然知らなかった。
「だから、行きたい学科で考えるのもひとつの手だと思うよ」
でも、私には行きたい学科も特にない。どうしよう、と俯いていると、お兄ちゃんはぽん、と私の頭の上に手を置いた。
「大丈夫だよ、朱里ならきっと見つかる」
「ありがとう、お兄ちゃん」
お兄ちゃんにそう言われると、大丈夫な気がしてきた。でも、焦っても仕方ないけど、そろそろ決めなきゃいけないのも事実。
せめて、行きたい学科だけでも、見つけないと。
とりあえず、適性検査をネットでやってみて、大学のパンフレットを取り寄せてみる。
「うーん、さっぱり決まらない」
じゃあ、私の好きな科目は何だろう。国語、生物、英語、家庭科かな。反対に嫌いなのは、物理、化学、数学だ。
「好きな科目だけなら、文系、かなぁ」
文系の方が好きな科目は多い。ひとまず、文系に進んで、自分の興味のある学科を模索していくのもいいかもしれない。
「うん、そうしよう」
担任の足立先生とも相談して、結局私は文系に進むことにした。と、そうこうしているうちに、運命の二月はやってきた。
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