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序章
「コッペパンってな、なんでコッペパンなんやろなぁ。」
教室でなんか全てが嫌になって、浅い傷をカッターナイフでつけている八百壱に、隣の席の浅井和夫は突飛押しのないことを投げかけた。
無視する壱に、和夫はスマートフォンを弄りながら話を続けた。
「へー、フランス語でコッペが切られたって意味なんやて。コッペパンって切り込み入れてるんやて、焼き上がりよくするために。」
ちらりと壱が和夫をみると、和夫はそれに気づきニカッとわらった。
「ほな、コッペイチやな。お前は。」
「くだんね。」
「コッペイチくん。にはバターの代わりに軟膏をあげよう。」
ポケットから何故か出てきた軟膏に壱は舌打ちをした。
「そんな自分に塗ってほしいん?」
しゃあないなぁ。と壱の腕を掴みティッシュで血を抑える。
かすかに切れただけの傷はすぐに血を止めた。
その傷に丁寧に軟膏を塗る和夫に舌打ちをして、壱は席を立った。
「どないしたん?もー授業始まるで!」
「帰る。」
「今日のCランチコッペパンやでー?」
「うっさい!」
真夏の10時過ぎ、ミンミンとセミがなくのに長袖を着た壱が教室から出ていくのを見つめる和夫にクラスメイトの女制度が2人やってきた。
「和夫ー。よくあんなんに構うね。」
「八百くんメンヘラでしょー?いつも、どっか切ったりしてるしなんか、男なのに援交してるとか噂だよぉ?」
「そーなんやぁ。大変なんやねぇ」
「大変とかじゃなくて、関わって和夫がなんかならないか心配してるの!」
「おーきに!大丈夫こう見えて俺漢検2級もってるから!」
「漢検はなんの役にもたたないよう」
チャイムの音に、和夫は机に突っ伏した。
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