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我輩は馬鹿である。理由はまだ分からない。
村の朝は早いらしく、みな日の出と共に起きてはそれぞれの生業に精を出すらしい。だが、我輩は正午に起きては、お母様の作ってくれたご飯と漬物を食べるのが日課となっている。その後は日が落ちるまで酒を飲むか昼寝をしている。
村の何人かに聞いたが、そういう日もあるにはあるが時々だそうだ。何故、そのような大変な思いをして稲作や商売をするのかと聞いたら、みなこぞって難しい話をした後に、我輩に向かって働けと叱ってくるのだ。
お母様に聞いてみても、答えは同じだ。だが、お父様には絶対に聞かない。我輩が口を開く度に、話の内容とは関係なしに働けと叱ってくるのだ。お父様の話はとても長いので、お父様が家に居る時は極力話さないようにしている。
お父様は我輩に名前があるにも関わらず、馬鹿としか呼んではくれない。馬鹿野郎、馬鹿野郎、そう言って酒を飲んでは毎晩涙を流している。お母様もそんなお父様を心配しては涙を流すのだが、悲しい事にお母様はいつも殴られている。
お母様は悪くないのに、何故殴られなければいけないのだろう。
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