古今馬鹿集

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 賭けを受けた我輩、二手に分かれて師匠が見えなくなると、すぐに木かげで寝た。昔から寝るのだけは異常に早く、馬鹿達から一目置かれる程であった。そんな我輩なので、師匠の声が聞こえたのは一瞬の出来事のように感じた。 師匠の声がもう一度聞こえる。そう遠くない。集合場所は最初に別れた大きな岩であった為、すぐに着いて岩に腰を下ろし、昼寝をしていたのを悟られてはいけまいと必死に体を伸ばしていると、我輩とても頭がすっきりした。  しばらくして師匠の気配を感じたので、疲れた素振りで待ち受けると、見た事もない大きな鳥を両手に掲げて師匠が現れた。度肝を抜かれて称賛の言葉を伝えていると、ある事に気が付いた。師匠の目のくまがさらに黒くなっている。  我輩、考えた。おそらく昨日の晩、いかに我輩を綺麗に両親の元に送り出すのか、夜鍋をして策を練ったに違いない。しかし我輩、勝つ事はおろか勝負すらしていなかった。師匠は本気で勝負してくれたのに、なんと言う不甲斐なさか。
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