古今馬鹿集

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 分からない事ばかりだが、一つだけ分かる事がある。我輩が馬鹿と言う事だ。 だか、何故馬鹿なのかは分からない。聞いてはみるが、みなの説明がよく分からないのだ。そこで我輩は村で賢いと言われる者の何人かに、我輩が何故馬鹿であるか聞いてみたが、答えはみな同じ事を言った。働かないからだと。  意味が分からなかった。だが、我輩実は頭がいいので、いい考えを思い付いた。同じく馬鹿と呼ばれる者に聞いてみれば分かるのではないかと。つまり、餅は餅屋だ。何人かの馬鹿と呼ばれる者に聞いてみたが何故か答えは同じだった。 馬鹿に聞いても、やはり馬鹿なので分からないのかと諦めかけたその時、最後の一人が酒を飲もうと言うのだ。これはいい考えだと意気揚々に酒を酌み交わし、気が付けば馬鹿の家で翌日の正午に起きた。やはり馬鹿は正午に起きるらしい。  そう思ったのも束の間、その馬鹿は実は馬鹿ではなかった。何故ならその馬鹿は起きたと同時に風邪を引いたからだ。馬鹿は風邪を引かないのだから、風邪を引く馬鹿は馬鹿ではない。馬鹿じゃない馬鹿に相談した我輩が馬鹿だった。
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