1.本木に勝る末木なし

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1.本木に勝る末木なし

 四月の雪、狂い咲く桜。突拍子もないものに人は驚く。その景色に風情を感じる人もいれば、阿鼻叫喚する人もいる。もちろん、なんとも思わない人も。人為的なものであればまだしも、自然的であれば当たりようがない。しかし、人はその自然的な中に人為的な何かを求める。責任や追究、それを求めることを止まない。  「自然」。それは、とても不正確で不規則なものだ。  ……違う。不正確で不規則なものこそが「自然」なのだ。そこにどんな法則も通用しない。時期外れなど存在しない。いつ、どのような状況であっても起こりうる“可能性”を秘めている。 ……彼女が死んだ  それは、もう半年も前のことになる。
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