大人の恋心

66/85
前へ
/85ページ
次へ
66.❧ " Gorgeous べっぴんさん "  翌日の遅めの朝にシャワーをし、すっきりした気分で あっさりとしたメニューのブランチを摂った。  昼食を一緒に摂るとなると、出掛けるのが気忙しくなるので まず、合流したらかき氷にしましょう、と提案していたのだ。  暑い季節に気忙しく汗にまみれながらのお出かけなんて なんという苦行。  なるべくゆったりと、過ごしたいじゃないの。  それにあれよ、食後時間を置いたとしても、次が氷じゃお腹 壊しそうで嫌だ。  折角のデートが楽しめないもの。  ゆったり……ゆったり……。  なるべく自分のペースを崩したくない。  そして、今日は騙しメイクで行くのだ。  騙しメイクって私が勝手に作った造語なんだけどね。  メインで重点的にガムばるのが💋唇の形。  少し濃い目のローズピンクと淡いピンクの口紅を駆使して 彼のマリリンモンロー風な厚めの色っぽい唇に見えるようにって 時間をかけて塗るのじゃぁ~。 と気合入れ……っと。  眉もす~と綺麗に濃いめのラインを引いてブラシで整えて・・ アイラインも割と濃く目尻に向けてシャープに描く。    まつ毛もいつもの1.5倍、繊毛のたくさん入ってるヤツを使って アイラインとの併せ技で目力が半端なく強くなるように塗った。  鏡の中の私は、普段薄化粧なだけに自分で言うのもおこがましいぐらい、 えらいべっぴんさんになっていて、笑ってしまった。  初対面がこれなら、詐欺だと言われてもしようがないと思うけど 彼はすでに私の素顔に近い顔は知っているわけだから、騙すことには ならないよね。  一時的なものだけど、綺麗な私を堪能してもらおうと思う。  びっくりしてもらえたら、最高!
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加