大人の恋心

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69.❧ " Caffe お店 "  そんなわけで、出入り口も普通の戸建てそのものになっている。  店内はどうなっているのだろう? とワクワクしながら足を踏み入れた。  普通のお店とはやはり違っていて、一戸建て風な部屋の中に それぞれのテーブル席がお洒落にセッティングされている。  部屋のすべての壁には長方形の窓があり、座った時に外の景色が見える形で 備え付けられている。  椅子が特徴的。  普通の応接セット用の椅子が配置されているのだ。    窓から外の景観を楽しめる席が3席と、真ん中と階段近くにある 席が1席ずつ、といったふうだ。  平日午後の比較的早い時間帯だったからか、すいていて、1階のお客は  私たちを含めて3組で、もちろん私たちは外を眺めることのできる窓の ある席に座った。    今からだと、河岸を変えずに夕食もここで摂れそうだよねぇ~ などと考えつつ、小野寺さんと席に着いた。 「涼しいぃ~」  タクシーで来て、ほとんど暑い思いもしてないくせに カフェに入った時のお決まりの台詞が私の口から出た。  それくらい、カキーンって店内は冷えていた。 「こんな暑い日に、むちゃくちゃ冷えた部屋でかき氷食べられる なんて、なんか私たち、贅沢ですよねぇ~」 「はぁ……」 「あっ、なんかっ……気のない返事ィ」 「あぁ、すいません、朴念仁で」
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