大人の恋心

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71.❧ " Spray Type Chrysanthemum スプレイマム "  桂子さんに会ってから彼女の着ているワンピースの鮮やかな 色とりどりの柄に圧倒されていて、特に洋服全体に散りばめられて 咲き誇っている花が気になっている。  可憐な花なのに、それでいてあちこちに咲き誇ると艶やかなのだ。  俺は彼女の洋服に視線を向けながら、尋ねることにした。   「その可愛い花は何ていう花なんですか? 」 「あぁ、この花ですか? 」  桂子さんが胸元を見ながら訊いてきた。 「スプレイマムっていう名前なんですよ。私もこの花の刺繍が すごく気に入って生地を購入しました」 「生地? ですか? 洋服ではなくて」 「ええ、そうです。色違いで2枚分」 「もしかして、自分で縫ったとか? 」 「ええ、昨年の秋頃、死に物狂いで。  早くワンピースの完成品を着てみたくて」 「すごいなぁ~、自分の服が作れるなんて! 」 「簡単なデザインなのですごくもないんですけど……実を いうと手前味噌になりますが、このワンピースはなかなかに仕上がった かなって思ってます。ふふっ、ところで小野寺さんはあれから休日 何してたんですか? 」 「あー、えー、何もっていうか……」  いやぁー、ここで何もしてなくて暇を持て余してたなんて言ったら 気まずくなるよなぁ。
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