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72.❧-
「正直に言います。
桂子んにお礼の電話なりメールなりしようと思いつつ、何だかできなくて
……お恥ずかしい」
「できない時は、無理しないほうがいいですよ。
それに私のほうも連絡しませんでしたから、おあいこということで」
「はぁ、面目ないです」
◇ ◇ ◇ ◇
「かき氷、おいしかったです。
ありがとうございます、こんな素敵なお店に連れて来てくれて」
「いやや……やや、気に入ってくれて良かったです。
この後、よければプラネタリュウム見に行きませんか? 」
「ひゃぁ~、また涼しい所に行けるんですね。うれしぃ~」
「「はははっ」」
桂子さんは相手を喜ばすことの上手い人だな。
タクシーを店の前まで呼び、駅までひとまず戻ることにした。
「じゃあ、ボチボチ行きますか」
「行きましょ、行きましょ。
プラネタリュウムなんて何年振りかしら。楽しみぃ~」
◇ ◇ ◇ ◇
駅に着くと、小野寺さんは、『レンタカーを借りてタクシー乗り場の
近くまで迎えに来るので10分ほど待っててください』と言い置き、
足早に駆けて行った。
ちょっと遠出になるのかも。
駅のコンコースを出ると夏の日差しをモロに受けるだろうから
少し時間をおいて私はゆっくりとタクシー乗り場のほうへ歩いて
行った。
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