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@@15.8.22(土)
75.🍑
" Fall Down 転ぶ "
「途中から魂抜けてた私がいうのもなんですけど、、綺麗で
静謐でやさしい時間でしたね」
「ですねぇ~」
そんな風に先ほど時間を共有していた事柄について駐車場までふたりで
ぶらぶら歩いていた時のこと。
私の横、擦れ擦れに中学生だろうか、ふたりが猛ダッシュで笑いながら
駆け抜けて行った。
私たちが歩いている場所は舗装されてなくて短めの雑草がそこかしこに
生えていた。
その土の上には大きな石なども転がっていて、驚いてよろけた拍子に、
運悪く転がっている大きな石に足をとられ、思いもかけない浮遊感で
前方に向かって私は飛んでいった。
この時、私は自分が空中高く前にぶっ飛んでいく姿をまざまざと
見た。それを体感するだけならいざ知らず、飛んで地面に落ちていく
様子が別の場所から他人事のように見えていたのだ。
こんな現象は生まれて初めてのことだった。
確かに見ていたのだけれど、脳内にぶっ飛んでいる自分の姿と後ろから
その様子を見ている自分が映像のように現れ、それを見てたというのが
正しいような気がする。
それを見ながら実際の私は地面に叩きつけられようとしていた。
きゃぁ~、ちょっ、、ちょっとぉ~。
お待ちになってぇ~。
この年で下が土だとはいえ、何の前触れも心の準備もそして肝心の
身体的準備もなしに、前のめりにジャンプするかのように落下すれば
どうなるのか。
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