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2023.5.28
77.🍑
" Propose プロポーズ "
「え?・・」
「桂子さん、無事で良かった」
「はい」
私は小野寺さんの腕の中にいて、そう答えた。
桂子さんが無邪気に自分の不思議体験をうれしそうに語る姿を
見ていたら、急に俺の胸が高鳴り出した。
Switch On! 止まらなくなった。
「桂子さん、結婚を前提にという交際の申し込みはしないことに
します」
えっ?
こんな素敵なナイトのような行動をしておきながら、とんでも
ないことを言い出す彼に私は戸惑いを隠せず、楽しい気持ちにいっきょに
暗雲が立ち込めた。
ならば、残念だけど私は彼の腕の中に長々といるわけにはいかない
と思った。
「桂子さん・・」
「・・」
「結婚してください。
できれば年内のうちに。
2週間会わないでいる間にそして今日桂子さんに会って、絶対
これからの人生、僕の隣には桂子さんに一緒にいてほしいと強く思いました」
「あのぉ、知世さんが言ってた結婚を前提に交際してください、と
いう台詞はなし? 」
「なしです。
今僕はプロポーズしたのですが、いけなかったでしょうか?
だめ? ですか? 」
「え~と、ダメじゃないです。
急でちょっと焦ってますけど、やっぱり女子なのでプロポーズされて
うれしいです。
あの、、私でよければ・・」
「いやぁ~よかったぁ~。
振られたらどうしようかと思いました」
「ふふっ、小野寺さんを振る女性なんていませんよ」
「相変わらず、桂子さんはやさしいですね」
ホントよ?
小野寺さんを振る女子なんていないよ?
振られたらどうしようかと思っただなんて。
ノー天気でやさしい台詞を紡ぐ彼に、、『ありがとう、私を
奥さんに選んでくれてありがとう』、って心の中で何度も感謝の
言葉を呟いた。
Thank you from the bottom of my heart.
番外編78話へと続く
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