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~石川恭子に振られた頃(夏)に遡る~
康之Side:
79.
石川恭子にやんわりとそれでいてきっぱりとプロポーズ
を断られた康之は、その後同性の同僚や後輩たちと夜の街
を飲み歩いた。
行く先々で仮にもモデル、スマートでスタイリッシュな
亀卦川たちには、すぐに若い女性たちが好奇心も手伝って
集ってきた。
その場で楽しく話している分には・・
そして、その場限りのひと時のお楽しみで彼女たちをお持
ち帰りする分には・・・
それはそれでよいのだが。
康之の気持ちが晴れることはなかった。
これまでは既婚であること、シングルであること・・に
なんの拘りも持っていなかったのだが。
離婚して灯りのついていない部屋に帰る侘しさを経験し
てみて、初めて康之は既婚者であったことへの恩恵みたい
なもの? を感じるようになった。
それと共に、認めたくはなかったが、妻の・・香の存在
の大きさ? 大切さ? みたいなものも感じずにはいられなくな
り、途方に暮れるのだった。
一夜限りの若いお姉ちゃんを妻にできるほど、落ちぶれて
はなかった康之の脳裏に、ちらほらと現れる顔があった。
・・・
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