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79-2.
ある日のこと。
いつになく、新垣桂子ことガキさんの仕事ぶりを、集中して
いる様子を窺っている亀卦川康之の姿があった。
以前付き合っていた頃とは表情とか雰囲気が違うというか
明らかな変化が見て取れるのだ。
具体的にどうというのは難しいけれど、一皮剥けてまったく
別物の人物が目の前にいる? 感じがするのだった。
その正体をどのような言葉で形容すればぴったりとピースが
嵌るだろうか、と考えていた康之だったが、ふとその嵌る
ピースを見つけることができたのだった。
魅力・・だ。
以前にはなかった異性を惹きつける魅力がガキさんに備わっ
た・・とそう思った。
しかし、亀卦川はそこでどうしてそうなったのか? という
理由には考えが及ばなかった。冷静ではなかったのだろう。
・・・
職場で居合わせる時には、いつもちゃんと挨拶してくれる
相手ではあるが、付き合いがなくなってからはずっとそっけ
ないというか、普通のというか、まぁ儀礼的な挨拶を互いに
交わすだけの間柄になっていた・・はずなのに。
今日はやたらと亀卦川康之からの視線、ビームってヤツを
浴びてるような気がしてならない。
気が散りそうになるのを耐えながら、私は仕事をなんとか
こなした。
なんだったんだろう、今日のアレ!
首を捻る桂子だった。
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