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80.
土・日出勤もある仕事だが、今週はどちらも休みになっ
ている。
明日は予定が入っていて、今夜の夕飯は簡単なメニュー
にして早く寝ないと、なんてこと考えながらビルを出て
桂子は足早に駅に向かった。
その足音は桂子の気持ちとハーモニーするかのように
軽やかに弾んでいた。
職場は駅から割と近い。
桂子の足で、5~6分といったところだろろうか。
ビルから駅まで、そして駅周辺にも賑やかにさまざまな
SHOPが点在しており、そんな店を眺めながらグイグイ歩
き出したその時、後方から聞き覚えのある声が自分を呼び
止めた。
「新垣さーん・・」
私を呼び止めたのは亀卦川さんだった。
「今日は仕事早くに上がったんだね? 」
「ええ、金曜日に早く帰れるなんてめったにないんです
けどね」
「これから誰かと約束ある? 」
「いいえ、特には」
「じゃあさ、久しぶりに飯でも行かない? 」
「えっ、・・はい」
食事に行くのは別に構わないけれど、遅くなるのは
いやだな~。桂子はすぐそんな風に思った。
亀卦川から声を掛けられてそんな風に考えたことは
今まで一度もなかったのに。
「亀卦川さん、今日は9時頃に電話の約束があって
・・その、、」
「分かった、食事だけで解散するから、さぁ行こう」
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