大人の恋心

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81.❧- 「ありがとうございます……」           ◇ ◇ ◇ ◇  プロポーズではないけれど、それに近い言葉で交際を 申し込んだ、のに……。  ガキさんは、うれしそうじゃなく、下に俯いたまま返事をしない。  俺はこんな状況を全く予想していなかったので、続けて どんな言葉を掛ければいいのか分からず、困った。  そして彼女の長い沈黙で、俺はハタと断られる可能性に 気付いた。やばい、非常にヤバイ。  石川に続いて、ガキさんにまで自分は振られるのかと 思うと、口の中が渇いてしようがなかった。 「今すぐに返事しなくても構わないよ。  その気になったら、声掛けてくれるとうれしいかな。  突然で驚かせてしまったね。取り敢えず今日はこれでお 開きにしますか」  1人で話を帰結させ、ガキさんを促して店を出た。 「じゃあ、気をつけて。  また飯でも食おう」 「はい。今日はご馳走様でした」            ◇ ◇ ◇ ◇  はぁ~、参ったな。  なんか、運気急降下だな、全く。  康之はあつい熱風に晒されながら、家に帰る気にならず 夜の街に消えていった。  
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