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「っっ!!なにこれ!!身体痛い!!」
全身が軋む。激痛とはこういうことか。私は思わず体の全ての動きを止め、そっと振り上げようとした腕を下ろした。サンタっぽい奴は、そんな私を見て、呆れたような声を出しながら私の顔を覗き込む。さっきから呆れられてばっかりだ。
「お嬢さんさ、あの高さから飛び降りたら、人間の体なんてグチャグチャよ?痛いのは当たり前だし。ほら、よく自分の身体見てみ?」
サンタっぽい奴に促されて視線を移し、自分の身体の無惨さを目の当たりにした。
「……幽体離脱なのにボロボロじゃん」
私は笑うしかなかった。自然と視線をサンタっぽい奴に向けていたらしい。サンタっぽい奴ら目が合うと顔を硬らせて笑ってくれた。そう笑い合う私の身体から、今何か落ちた気がする。ただ何かについては知らない方がいい気がするので、敢えて放っておいた。
「魂と肉体の繋がりは深いんだよ、お嬢さん。まぁ見ればわかるけど即死じゃないにしても、もう死ぬまで1分もないかもね」
何か言い残すことがあるかと、サンタっぽい奴は聞いてきた。言い残すことというより、即死じゃなかったことへの不満があり過ぎて1分じゃ足りない。全く足りない。
「1分じゃ足りない」
「足りないって何言うつもり?」
サンタっぽい奴の声のトーンが少しだけ下がった気がする。それに合わせて私の体感温度も少し下がった。なぜだかはわからないけど妙に緊張する。
「なんで即死じゃないのかとか、なんで幽体離脱なんかしてるのかとか」
緊張したせいなのかしどろもどろになってしまった。サンタっぽい奴は、また私を見て呆れたような顔をして、こう言った。
「いや、それ今言わなくても良くない?」
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