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「なんでよ」
思わず突っかかってしまった。いろいろと癪に触っていたこともあり、ほぼ条件反射だった。しかしそれすら見抜かれていたようで、サンタっぽい奴は私をまっすぐに見つめてきた。
「さっきも言ったけど、このままだともう君はあと1分も持たずに死ぬ。そこはもう覆せない。あれだけの人が助けようとしていても」
そう言って指差す先にはいつの間にか人だかりができており、物々しい雰囲気になっている。大丈夫かと私の器に駆け寄る同級生、警察へ電話してくれている先生など、私のために動いてくれる人達がいることに驚いた。
「なんで……」
正直この光景は、私にとって想定外だった。
「いつも……いつも私のことなんて、気にも留めないくせに」
いつも私が何かされていても何も動かなかったくせに。
「本当はそうでもなかったってことじゃない?」
「そんなことない!!」
思わず大きな声を出してしまった。でも本当にそう思うからだ。私がこの学校に通い始めた時から、私の世界はどんどん薄汚れていったのだから。
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