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「……じゃあ今から3分待ってあげる」
「え」
サンタっぽい奴は、私の顔の前に人差し指と中指と薬指を立てた。3を表すその仕草に私は戸惑ったが、サンタっぽい奴が指を鳴らした次の瞬間にはそんなことどうでも良くなっていた。私とサンタっぽい以外の時間経過が著しく遅くなったのだ。私たち以外は超スローモーション映像になってしまったかのように。
「3分って……なに?」
もう訳がわからない。ただ目の前の奴が3分あげると言った途端、時間の流れが遅くなった。それだけは事実だ。いろいろ聞きたいことはあるけど、これしか聞くことが許されないという感覚になった。支配されたという感覚かもしれない。
「3分は3分。カップラーメンができるまでの時間。そして君が告白と懺悔するための時間。」
「……告白と懺悔?」
支配されたという感覚は正しかった。私の疑問も戸惑いも蚊帳の外。サンタっぽい奴が主導権を握っていた。私はサンタっぽい奴が吹っかけてくる言葉に対して答えるしかない。
「そっ。告白と懺悔。今から言う質問に答えるだけでいい」
「あの」
「あ、そうそう。嘘はなしだよ。告白と懺悔に嘘はいらない」
サンタっぽい奴は、満面の笑みを浮かべる。でも声のトーンが少し重くなり、妙に緊張した。それがますます腹立たしいし、強引というか、頑固というか、唯我独尊だけれども、私は従うしかなかった。
「さあ、質問タイムスタート」
私の周りはスローペース。サンタっぽい奴と私だけの空間。目の前の奴から発せられる明るい綺麗な声だけが響き渡った。
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