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私のいらない3分
「まずはアレね。名前」
初めて目が合った気がする。ひげもじゃサンタもどきのクセに、目の力は強くて負けてしまいそうだ。
「え、あ、私は」
気づけばしどろもどろになってしまった。
「あー、でも名前はいいや。どうせ3分ほどの付き合いだし」
「あ、そうですか」
肩透かしとはこのことである。目の前の奴は少し考えた後こう言った。
「ええっと、歳……もいらないか。聞いてもしょうがないし」
「はあ」
「んー」
髭を弄りながらすっかり黙ってしまった。目を細めて何を聞こう考えている様子、らしい。しかし質問タイムだとかなんだと言って、全然質問されないのは些か不愉快でしかない。
「もう時間もないし、めんどくさいか。何で飛び降りたの」
「……直球すぎない?軽めのジャブは?」
「あのね、3分なんてあっという間なの。さっさと答えようね」
名前とか歳とか聞こうとしてた奴に言われたくはないが、言ったところでと言う感じでもあるから諦めようと思う。
私が飛び降りた理由。それは単純だ。
「もう死にたいと思って」
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