私のいらない3分

1/4
前へ
/11ページ
次へ

私のいらない3分

 「まずはアレね。名前」  初めて目が合った気がする。ひげもじゃサンタもどきのクセに、目の力は強くて負けてしまいそうだ。 「え、あ、私は」  気づけばしどろもどろになってしまった。 「あー、でも名前はいいや。どうせ3分ほどの付き合いだし」 「あ、そうですか」  肩透かしとはこのことである。目の前の奴は少し考えた後こう言った。 「ええっと、歳……もいらないか。聞いてもしょうがないし」 「はあ」 「んー」  髭を弄りながらすっかり黙ってしまった。目を細めて何を聞こう考えている様子、らしい。しかし質問タイムだとかなんだと言って、全然質問されないのは些か不愉快でしかない。  「もう時間もないし、めんどくさいか。何で飛び降りたの」 「……直球すぎない?軽めのジャブは?」 「あのね、3分なんてあっという間なの。さっさと答えようね」  名前とか歳とか聞こうとしてた奴に言われたくはないが、言ったところでと言う感じでもあるから諦めようと思う。  私が飛び降りた理由。それは単純だ。 「もう死にたいと思って」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加