私のいらない3分

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 サンタっぽい奴は、そう言う私をただ見ている。これといって何も言ってこないので、私は言葉を繋いだ。  「もう良いかなと思った。だから飛び降りたの。悪い?」  反応が来ないのがなぜか嫌で思わず突っかかってしまった。こう言うことを言うと悪いと言ってくるのが世の常だと思う。  「いや別に。君の自由だから、それは」  私は固まってしまった。空いた口が塞がらない、というやつだと思う。正直そう言われるとは思ってなかった。  「ハハッ、凄い間抜けヅラだね」 「うるさい」  心底嫌味な奴である。ひとしきり笑った後、サンタっぽい奴は少し笑ったように見えた。髭でほぼ分からないけど。  「悪くないから、もっと詳しく話したまえ」 「何を」 「何でそんなに死にたいのかね、君」 「……」 「君が飛び降りた後、いろんな人が駆け寄って来てたよね。放っとかれてる感じではなかった」  そう。あの感じは私も驚いた。今まで私に見向きもしなかったのに、みんな私を助けようとしていた。少し動かせば、私の器の部品がこぼれ落ちるようなボロボロの身体を。  「今はみんな真っ先にスマホで写真撮るでしょ?だからああいう健全な行動は久々に見たよ」  それも結構偏ってる気がするが、あえてスルーすることにした。    
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