ラベンダーピンクの三角形とフリルのワルツ

ドント・アスク、ドント・テル

　棚をひとつ挟んだ海外書物のコーナーには、柔らかそうな背筋がよく伸びた、清楚なフリルのワンピース姿の李莉(りり)をたまに見かけた。さやかは見かける度に、なぜかため息を積もらせて、李莉のことをちらちらと覗き見していた。