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不良行為を繰り返し、犯罪にも手を染めるとされるグループ「半グレ」。
世界遺産・国宝の姫路城がそびえ立つ兵庫県姫路市にも、警察に認定されていないものの、地元で有名な半グレ集団が存在した。その名は「武侠連合」。
最初は夜な夜な集まるだけの不良集団だった。後に、重大な犯罪に関わるとは、少年たちもつゆほども思っていなかった。
武侠連合ができたのは、2019年秋。姫路市内や西播磨地域などに住む16~18歳の少年ら10人程度で構成する。彼らは姫路市の市街地の外れにある建物をたまり場にしていた。普段は仲間内で飲食をする程度だった。
ただ、その中心に一人、異質な雰囲気を醸し出す年配の男がいた。
細身で中背、目つきの鋭い丸刈りの男。
「(男が)ぼくらのために、たまり場をつくってくれた。オヤジのような存在」。後の刑事裁判で、結成メンバーの少年Aはそう証言した。
“オヤジ”とは建設現場の仕事などで知り合った。当初はAら3人だけだったが、それぞれが友人を誘うことで出入りする少年は増えた。
男が暴力団員らしいというのもほぼ全員が気付いていた。
それでも“オヤジ”は優しかった。
時に食事をおごってくれ、時に少年たちが抱えるトラブルを解決してくれた。社会から「ドロップアウト」した不良の自分たちの面倒をみてくれる男に対し、Aは「義理や人情を感じていた」という。
少年らはやがて自らのグループを「武侠連合」と名乗るようになり、男の仕事も手伝うようになった。
「事務所に来てくれ」。男からの呼び出しがあったのは冬のある日。「もめている相手を取り囲む」と少年Bは聞かされた。
集まった8人の少年を前に、男は持参してきた手提げバックを見せた。「好きなん使え」。中にはナイフや警棒、鉄パイプなどが入っていた。
男と少年たちはその日の深夜、男の知人という40代の男性を姫路の東に隣接する高砂市内に呼び出して集団で暴行、殺害して山中に遺棄した。
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