十九年後

4/10

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
念のため、昔の同僚たちに松崎の人柄など尋ねた。それによると、あまり信用しない方がいい、と教えてくれた。なぜそうなのかは話してくれなかった。 私は、やはりそうか、と思った。危険なんだ、と気を引き締めた。しかし、松崎からコンスタントに仕事が入ってきた。給料の支払いもちゃんとやってくれた。 仕事がない時は、自由に時間を使えた。会社勤めをしていたら、自由時間はほとんどない。なんだかんだと用事を押しつけられる。自由な時間は、好きな読書に充てた。 読みたいと思っていた本がある。仏教書、なかでも禅に興味があった。専門書店へ行き、あれこれ買い込んで読み漁った。どう生きれば充実した人生になるか、その答えが書いてあればと思った。 私は会社のルールに縛られず、仕事のない時は好きなことをして日々を送った。そんな日は、すごく楽しかった。これも松崎と付き合っているからだと思い感謝した。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加