十九年後

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給料も滞りがちになり、半額ずつ二回払いになったり、丸々一ヶ月分、払ってもらえなくなった。 私はジリジリした焦りを抱え、満足に夜、眠れなくなった。 こんな不安な時に、松崎は突然、切羽詰まった感じで電話してきた。至急、十万用意してくれ、という内容だった。異常な様子だったので、常磐線「日暮里」駅のホームで待合わせ、お金を渡してあげた。 その時の松崎は、顔面蒼白で小刻みに体が震えていた。ヤクザから借金を取り立てられているように見えた。たぶん、松崎は高利貸しから借金したのだろう。 私は、こんな奴と一緒に居たら、こっちまで危険だと思った。翌日、信用保証協会に電話して、保証人を辞めると申し出た。 以前、松崎について友人たちに尋ねたことを思い出した。彼らは、あまり信用しちゃいけないと注意してくれた。
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