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「潤じゃないか。ハロー」
入り口傍の児童に手を振るエレン先生。彼も振り返す。
「ハロー」
「今日はまだ一度も会ってなかったね。いつもは大体廊下で会うのに」
「今日は眠くて休み時間歩いてない」
あははと笑ったエレン先生は、部屋を見渡した。
「あれ、今日はほとんどの子にまだおはようも言えてないな。まずは挨拶からするとしよう」
コホンと喉を整えて、ネクタイを触りながら席を立つ。そして腰を九十度に曲げて。
「皆さん、おはようございます」
と、礼儀正しく挨拶をした。
そんな丁寧な挨拶を前に、皆も座っていられるはずがなくガタガタと椅子から立ち上がる。
「エレン先生、おはようございます」
深々下げた頭を上げると、エレン先生は校長先生になった気分、とご機嫌だった。
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