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 遅めの夏休みが取れた二郎君。ふたりで旅行にでも行こうという話になった。行きたい所はいくつか思い付いた。でも二郎君と行くなら彼の故郷に行きたいと思った。もちろん二郎君本人の気持ちも気になった。行きたくないと言われれば札幌辺りを提案するつもりだった。そう言えば彼の故郷に対する気持ちを聞いたことがなかった。二郎君は横須賀に行きたいと言った。そしてこうも言った。お母さんに会いたい、と。俺は承諾した。彼は俺とのふたりきりの旅行に俺とは関係ない用事を持ち込んだことを申し訳なく思っているようだった。いいんです。だって二郎君のお母さん見たいもの。綺麗な人なんだろうなあ。
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