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「傳嗣さんが作ったしおりの通りに来ただけです」と二郎君がポケットからB6サイズの冊子を出した。今回俺が作った旅のしおり。フォントにもこだわった。中綴じにしたくて星口玩具のオフィスからステープラを拝借した。二郎君がスーツケースのハンドルを縮めてから俺の隣に座る。ボーダーのカットソーに七分袖のシャツを羽織っている二郎君。良い。そのボーダーは海を意識したのか、していないのか。いずれにせよ良い。好き。
「横須賀出身って言っても12年ちょっとしかいなかったし、もう宮城にいる年数の方が長いし」それから辺りを見回して少し嬉しそうに微笑む。「でもここは覚えてます」
「ここどこですか」
「ヴェルニー公園」
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