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宿泊先のビジネスホテルに荷物を預けてから朝食を摂りにカフェへ行った。全国各地に店舗のあるチェーン店なのに、知らない土地で立ち寄ると特別な感じがする。何よりも見える景色がまるで違う。戦艦が浮かぶ海など見たことがなかった。宮城の海だと漁船か遊覧船だ。あとクルーズ船なんかは何度か見たことがある。そう言えば小学生くらいの頃県内のどこかの港へ南極観測船「しらせ」を見に行ったことがあった。確かあの船も横須賀の自衛隊が運用していたな。思わぬ所でご縁があった。俺の向かいでサンドイッチを食べる二郎君は海など見ていない。食べることに夢中なのか、こんな風景は見慣れているのか、それともこれから母親に会うということで緊張しているのか。
母親と直接連絡は取れなかった。母親の交際相手が仲介人になった。連絡先は丈晴さんが知っていた。丈晴さんは何でも知っているのに聞かないと何も教えてくれない。会うのは今夜。場所は横浜みなとみらいのホテル内にあるレストラン。時間まで横須賀で過ごすことにした。二郎君が汐入駅周辺を歩くのについて行った。嵩上げされた土地に建てられた校舎。階段の下から見上げた二郎君が指差した。
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